世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

ランプの贈り物

師走のJR山手線は常にも増してひどい混みようだった。
駅に着くたび、大量の人がなだれ込んできて、あっちにドドドッ、こっちにガガガッ。
いい加減疲れ果て、うんざりしてるとこにもってきて、目の前に座っている若い女は、私の脚がちょっとでも彼女の膝に触れようものなら、そのたんびに斜めにすくい上げるように、にらみつけてくる。
うっせ~、こっちだって押されて迷惑してんだよっ!
心の中では、もっとひどい罵詈雑言がうずまいて、もはや私はほとんどその見知らぬ女性を呪いかけている。
よく、ニュースで中高年のおっさんとかが、そんな簡単なことで人刺しちゃうの??とか、あきれるくらいアホな事件を起こしたりしてるけど、なんかわかるような気がしてくる。
小さな舌打ちや、独り言、カシャカシャ耳障りなヘッドフォンの音。
うんざりしきって外を見やろうとした時、ふと斜め前の席の若者の襟に目がとまった。
はやりの黒ストライプの背広の襟に、小さく光るのは、社章?それにしてはなんだか形が変だけど・・・・?
あれれ?もしや、魔法のランプ??
わぁ、そうだわ、これ、アラジンの魔法のランプだ!
ほら、レストランでカレーのルーがはいってくる取っ手付きの器があるでしょ?あれに似たやつ。
ちょっと華奢な形の足に、豪奢な模様つきランプの口からは、ご丁寧に煙があがっているではありませんか?!
またその煙の形が、クジラの潮吹きみたいに先端が分かれていて、微妙にバランスが悪いんですね(^^)
あぁ、なるほど、それでパッと見、何の形かわからなかったんだ?!
思わずにやりとした私。その間、わずか、2,3秒?
でも、今の今まで、思いっきりささくれたって、目の前の見知らぬ少女に激しい憎悪を抱いてた私の心が、ふっとゆるんだのだ。たった、それだけのことで。
年寄りに誰も席をゆずろうともしない、みんなが押し合いへし合いで不機嫌だけが渦巻いてる車内。
少女の一つ隣の席で、朝っぱらからスマートフォンでゲームに没頭しているしょうもない(?)若い会社員。
けど、その襟の小さな小さな魔法のランプは、私をつかのま満員電車の人いきれから解放してくれた。

そういえば、昔、「魔法使いジニー」とかって、可愛らしい魔女がでてくるアメリカのコメディドラマがあったなぁ。
あれ、主人公は宇宙飛行士かなんかじゃなかったっけ?
ともかく、浜辺かなんかで魔法の壺だかランプをひろってさ。
中から出てきたのは、アラジンのときみたいなむさくるしい魔人じゃなくて、アラビアチックな薄物をまとった、キュートな美女で。
魔法を使うときも、すんごく簡単、腕組みしてキュッて目をつぶると、もうOK、願いは叶ってる。
あれ、違った?「奥さまは魔女」のサマンサと混同してる?
いや、サマンサは鼻と口をくしゅくしゅってやって、ダーリン♪って、呼ぶんだったっけ。
ちなみに、ジニーは、殿~~~~っ♪だよね。
中村晃子が吹き替えやってた。あの声も好きだったな。
アラビア風のスケスケ衣装は、頭に巻いたターバンやアクセサリーとあいまって、少女心にもエキゾチックで、いやがうえにも憧れをかきたてられたもんだよなぁ。
スケスケ衣装といえば、アラビア風というよりは明らかにネグリジェ姿のお姉さんが、雷さんといっしょに屋根の上で踊る、マスプロアンテナなんてののCMがあったっけなぁ。
♪見えすぎちゃって困るの~~~っ、見えすぎちゃって困るのぉ~~~っ♪
わっ、すごい、即、歌えるわ。
そういえば、地デジばやりの昨今、マスプロアンテナってどうなってるんだろう?発展してるのかなぁ?それとも・・・?

とかとか。
芋づる式にどんどこ思い出やらなにやらがよみがえり、気がつくと、私の中で渦巻いていた苛立ちやら憎悪は、すっかりかき消えていた。ランプだけに、煙のごとく(なんちゃって^^)

人の気分って、案外、簡単に変わるもんなんですね。

その日、見知らぬ若者の襟についていた小さなピンバッジは、
そうして、私への贈り物になった。

アクセサリーとかファションには、そんな効用もあるのね。
おしゃれって、自分のためだけじゃないんだ?
あ、でも、それは、人がまとう衣服だけじゃなく、人そのものにもいえるのかも・・・。

たとえば、珍しく用があって、早くから出かけた日曜の朝の電車。
一目でそれとわかる大手学習塾のブルーのカバンをしょった子供たちが、わいわいと乗り込んでくる。
体をぶっつけあったり、きゃはきゃはぎゃはぎゃは、元気いっぱい。
もう追い込みに入った今の季節は、模試があるのか、親子連れの姿も目立つ。
母親と一緒の子もいれば、父親が同行、なかには両親そろってなんていう子もいる。
親子連れがぞろぞろ降りていくと、一人で乗っていた男の子が、心細そうに車内の路線図を見上げる。大丈夫、というように少年は肩で一つ息をする。
結局、少年は次の駅でおりる。同じカバンを背負ったこどもたちが、やはり何人か降りてゆく。
よかったね、模試会場は駅と駅の中間にあるんだ、と私はひとり納得する。試験、頑張ってね。

バレエをやってる女の子たちも一目でそれとわかる。
みんな素晴らしく姿勢がよくて、長い髪は頭のてっぺんできれいなお団子に。サンタクロースみたいに大きな衣装バッグをかけている。
いいなぁ。女性なら幼いころ、一度はバレリーナに憧れたことがあるんじゃないのかしら?
取材で、初めて訪れた小さな田舎町で、バレエ教室の看板を見かけたことが、何度かある。
どんな町にも、ひとつはバレエスタジオってあるもんなのか?
きっと、かつては都会でバレリーナを夢見た女性が、今は引退、故郷に戻ってこの小さな教室をひらいたのだろう。
どのお教室も、不思議と雰囲気は似ている。
周りの家並みにくらべてちょっぴり瀟洒。おしゃれで淡い色合いの壁のその建物は、いかにも少女たちが集う優しい明るさに満ちている。
ウイークデイの昼下がり、町には歩く人も見当たらず、スタジオも物音ひとつせず、ひっそりかんとしている。
でも、このごく普通の小さな田舎町の片隅で、確かに夢は育まれている。
そう思わせる優しい空気があたりにはあって、私はなんだか幸せな気分につつまれて、バレエ教室の看板をもう一度見上げる。

もしや、それもまた贈り物ではなかったろうか?
誰かの描いてる夢が、そこにかいま見え、未来とか希望とかいった明るいアトモスフィア(大気)があたりを覆って。
はやりのパワースポットじゃないけれど、誰かの明るい気持ちは、きっと別の誰かに伝染して、まわりをちょぴりあったかくする・・・。

和顔施=わがんせ、という言葉がある。禅語のひとつだとか。
その意味するところは、文字通り”和やかな表情もまた一つの施しである”ということだそう。
元気に電車に乗り込んできた子供たちも、不安そうに電車を降りて行った少年も、キラキラバレエ少女も、なんと薙刀なんぞを抱えて乗り込んできた女子大生の一団も、みんな、別に私に笑顔を向けてくれたわけではないけれど、その日、その時、私にとっては十分、和顔施だった。
みんな、ちゃんと元気・・・かどうかは知らないけど、ともかくもこうして、今日やるべきことがあって、その目的に向かって一日をスタートさせているってことが、まったく関係はないはずなのに、なぜか人が生きてあることへのエールのように思えたから・・・・。

師走も師走。
今年も残すところ、あとわずか。
いやなことも大変なこともいっぱいあったけれど。
とにもかくにも、新しい年はもうすぐそこ。
遠く南米はブエノスアイレスだかどっかの街では、大晦日に、いらなくなった書類や、処理しきれなかった書類をオフィスの窓から一斉に投げ捨てる習慣があると聞いたことがある。
なんて素敵なんでしょう!!(^^)
いらないものをすべて捨て去ることができたなら!
断捨離がブームになったのも、わかる気がします。

はて、来る年は、いかなる年になるのでしょう?
いずれにせよ、つつがなくあれよかしと、願います。

あなたに、そして私に、新しい年には新しい風がふきますよう。
願わくば、それが優しく温かいものでありますよう。
どうぞ、よいお年を!!

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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