世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

なんかいいこと

「ねぇ、なんか面白い話してよ~」
バブル華やかなりしころ、
友達の美人イラストレーターは、毎晩のように電話をしてきた。

「今、タクシー待ってるんだけどォ、なかなか来ないのよぉ」
寝入りばなをおこされて機嫌の悪い私とは対照的に、
ほろ酔い気分ですっかりご機嫌な彼女は、
受話器のむこうで♪いえ~~ぃとか言いながら、
「ねぇ、早くぅ~。なんでもいいから面白い話~~~っ」
と、くりかえす。

赤坂の一等地にある彼女のオフィスは、
いとこが経営する国際弁護士事務所の一室を特別に借り受けたもので、
まわりには時給最低2万円、
それも電話で話を聞いてもらうだけで、15分単位5千円という、
冗談みたいな高給とり男がごろごろしていた。
東大卒業はあたりまえ、やれイエールだ、ハーバードだ。
いやあ、実際、そういうアンビリバボーな連中が密集生息している場所って、
あるもんなんですね~。
もう、わっけわからん。

弁護士連中についてる秘書は、全員パーフェクトなバイリンガル女子。
みんな、いつもきれいな髪形で、いかにも本物ですって感じの小さな宝石を
ちょこっとだけ身に着け、品よくオフィスを行き来していた。

その女友達がいなければ、きっと一生、
あんなエリートだらけの場所があるなんてこと、
しらずにいたろうなぁ。

あ、で、だ。
所詮、相手は酔っぱらいなんだから、適当にあしらえばいいものを、
なんであんな美人が毎晩誰か彼かと飲み歩いて、
結局は一人で深夜オフィスにもどり、
私なんかのところに電話してこなきゃいけないのかと思うと、
なんだかちょっと都会に生きる大人の女の孤独をかいま見るような思いで、
ついアレコレ、その日あった面白い話をひねりだしてみせるんだった。

「あ、車きた!じゃ、ね」
途中いきなりとっとと電話を切ってしまうのも、ほぼ毎度のお約束で、
私はツーツーいう受話器に向かって、どなったものだ。
「このばかものがっ!!」

「ねぇねぇ、なんか面白いことぉ」
「ないワ、んなもんっ!」
「え~~、なんかいいことなかったのぉ?」
「しっつこい!何度ないっつたら気ィすむのっ!」
「え~~~っ、つまんなぁい」
「つまんないもんです、人生は!!わかったか?!」
私が怒ると、彼女は大笑いした。
「マ~ジで?たしかに!うっそぉ~。言えてるかもぉ」
結局、深夜のタクシー待ち時間つぶしの電話は
かれこれ1年ちかく続いたろうか。

あれから幾星霜。
まだ20代半ばの女友達が、顔をあわすたびに
聞いてくる。
「なんか、いいことありました?」
「ない」
「うっそぉ~。まじ、なんもすか?」
「なんもですっ!」

「そうっすよねぇ。いいことないっすよね」
はるか年下の女友達は、ちょっとしゅんとする。
「だめっすよねぇ。
うちの職場の上司が最近、ため息ばっかつくんすよ。
人生、いいこと、なんもないみたいな」

彼女は、奈良にある世界遺産(!)の有名寺院の東京別院につとめている。
「マジ、伝染りそうでこわいんすよ。
ダイジョーブなんすかね、わたし。
このままいっちゃって。なんか、マズクないっすかね?」
書家でもあって、最近大きな賞もとったのだが、話し方はかなりラフだ。
黙ってれば、美人なのに・・・と僧侶にも言われているそうだ。
お寺と聞くと、努めている人々もみな悟っているように思うけど、
そこはそれ、所詮、人間の集まるところ、
不和もあればそれなりのいさかいもあり、
なかなかに悩みは尽きないらしい。

もっとも、ちょうど20代なかばの彼女にとって、
一番大きい悩みは、もちろん、恋だ。
「あぁ、わたし、もうすぐ誕生日なんすけど。
どうすんっすかね。
まじ、一人ですごすことになるんすかね~。
なんとかなりませんかね~~~」

「相談する相手がちがってるべな。わたくし、この年で未婚ですから」
この年って、私、実は
彼女の母親より5つも上だったりするのでありました・・・・。

「いやいや、別に、あのそういうことじゃなくてっすね・・」
年下の友人は少しあわてたのち、空を仰ぐ。
「あぁ、占いでも行こうかなあ。それとも、東京大神宮がいいっすかねぇ」
う~~~ん、どうでもいいけど、
あなた、つとめてるの、かなり立派なお寺なんですけどぉ。

もう一人、うんと年下の女友達がいる。
美大を出て、今はおもちゃ会社につとめている。
小学生のころから知っている子が、
今や30歳になんなんとするというだけでも、感慨深いものがあるが、
それがしごく感じのいい美人になっていると、さらに感動的だったりする。

最近の日本には、ひどい不細工な子ってやつが、見事にいなくなった。
文明が発展したのか、基本生活が向上したのか、
ともかく、女の子たちは飛躍的に底上げが図られた気がする。
みんな、かわいい。みんな元気。
みんな、アグレッシブで・・・ちとコワいかもぉ。
そんななかで、私の若い友人は、
爽やかな感じのするキレイさんになっていた。

「今、係長の昇進試験受けてるとこなんですよ。
こんなに長いこと仕事続けてるなんて、自分でも信じられないんです」
すぐ結婚するかもと思っていた彼とは別れ、
いつのまにかいっぱしのキャリアウーマンになっていた彼女。

その彼女が、アラカン(・・・アラウンド還暦だす!!)も視野に入り始めた私に
真顔で聞く。
「ノンちゃん、今、幸せですか?
ノンちゃんの夢ってなんですか?」
へっ・・・???
ゆ、夢????
う~~~ん、しばし、絶句した私。
よもや、50も半ばをとうに過ぎて、
夢はなにかと、現在進行形で聞かれるとは思ってもみなかったぞ~~~~いっ!!!

私に幸せかと聞いた彼女は、もちろん、
幸せとは何かについて悩んでいる真っ最中だった。
人は幸せな時、他人の幸せについて思いをめぐらせたりはしない。
夢は何かとたずねたのは、
彼女自身が、自分の夢と将来に不安を抱いてたからだろう。

私は結局なんと答えたんだったかなぁ?
「あのさ、この年になると、つつがないってだけで、
本当にありがたいって思えるんだよね。いや、冗談じゃなくてさ」
それは私の本心だったけど、
若さのまっただなかの彼女には、
お茶をにごしたつまらない答えに思えたかもしれない。

「夢?夢は、世界の平和かなぁ」
っていうのも、めっちゃうそっぽく聞こえたかも。

でも、3.11日のあの震災以降の今なら、彼女も十分納得してくれたかも。

実は、私はいつもけっこう幸せだ。
自分を楽しませることがうまいというか。
うんといやなことがあった日には、お風呂に入る。
息をとめ、思い切って頭のてっぺんまでバスタブに沈みこむ。
苦しくなっても、ガマンする。
いよいよ、もうダメって寸前で、ブファ~~~ッ、浮上する。
「わたしは、カバか?」
とか、声に出していってみる。
すると、けっこう笑える。

うそでも笑うとね、脳は案外だまされやすくって、
本当に笑った時と同じ脳内ホルモンがでるんだそうだ。

盛大に泡をたてて、身体を洗い、
大昔、高校の生物の先生が言ったように、
そのまま泡だらけの身体で、お風呂場の椅子にすわり、
黙ってじ~~~っとしててみる。
「泡が汚れをですね、包み込むまで少し待った方が、
本当はキレになるんですよ、みなさんも試してみるといいですよ」

「ビンボーで食器も買えない頃、
いつも顔を洗ってる洗面器でカレーライスとか食ったもんですよ」
授業の合間に、ちょっと顔を赤くしながら、そんな話をしてた変わり者の先生。
元気かなぁ・・・。

いいけど、先生のいったように、泡消えるの待ってると、なんか身体がスゥスゥして、
ミョーに心もとなぁい気分になってくるんですよね。

でも、人生がイヤになってるときは、その心もとなさが、なぜかいい。
案外、効く。
自分がいたいけな存在におもえてきて、
自分で自分がいじらしくなるとでも申しましょうか。

“まぁまぁ、そんな頑張らなくてもいいから”
“わかったわかった。いやなことあったんだよね???”
“悪いのは、あんたじゃないから。分かってるって”
って、なんだか、もう一人の自分がちゃんと自分を慰めてくれるというか
味方になってくれるような気がしてくるのです。

自分自身と折り合いさえつけば、
人ってけっこう元気になれるもんじゃあ~りませんか??
と、チャーリー浜も言っている・・・あ、いないっすか?ハハハ。

ま、その昔、ストレスで10円ハゲができたことがある私のいうことですゆえ、
あんまり信憑性はないかもしれないけど。
でも、ね。

やれ老舗がどうの、100年続いた名家がどうのといってる輩に、私の年上の女友達がつぶやいた一言をもって、ここにはげましの言葉としたいと存じます。

「今生きてる人はみんな、誰だって、
数千年の人類の命がつながって、ここにいるのよね」
なによ、自分たちだけえらいみたいなこと言わないでほしいわっ!!プンプンッ。
と、彼女は続けたのだったけれど(^^)

はて、ところで、今、私は幸せか?
あなたは、どうでしょう??

私は・・・そうね、まずはお風呂にでもざばっとつかりながら、よ~~くよく考えてみることにいたします。(お風呂だけに、浴ヨク^^?)

ではでは、夏のおわりに愛をこめて。
C U(See you)

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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