世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

インカのめざめ

「好きな昔話って、ありますか?」
「うん。鉢かづき姫!」
即答すると、年下の友人は首をかしげた。
「なんすか、それ?聞いたこともない」
え~~、知らないの??
あきれたけれど、実はわたしもちゃんとしたお話は知らないんだった(^^)
でも、ともかく
「重い鉢が頭からとれないまま大きくなった異形の娘が、ある日、素敵な若者に見初められたら、鉢が割れて、中からは金銀財宝がざっくざく、しあわせになりましたとさって、お話なのよ」
「まじっすか。いいなぁ、それ」
恋するお年頃の友人は、しみじみため息をついた。
彼女は、ちょうど恋をあきらめたばかりだった。
それも、相手が由緒ある家柄の若者で、お嫁さんにもそれ相応の出の女性でないとという、今時、うっそぉ~~~みたいな事情に阻まれての決断だったため、ひときわ羨ましく思えたらしい。
「いいなぁ、棚からぼた餅」

確かに。いいよなぁ、棚ぼた!

実は、私、「小公女」もめちゃくちゃ好きなんですが。
ハイライトは、なんといっても、あのサプライズ。
富豪の父が死んで、それまで王女様のようにもてなされていた少女セーラの運命が一転。
寄宿舎の下働きとなり、疲れ切って屋根裏部屋にもどってくると、ある日、冷え切っているはずの部屋には暖炉の火があかあかと燃え、机の上には山のようなごちそうやフルーツが盛られ・・・って場面。

子どものころは、夏はひたすら外で真っ黒になって遊びまわっているだけだった。
本を読むのは、あきらかに秋になったころからだった。”読書の秋”って、ほんとだったのだ。
昔の秋は、今よりずっと冷ぃやりしてた気がする。
家の電気だって、今みたいに明るくなかった。
エアコンなんてしろもんはもちろんあるはずもなく、
うっすら寒い部屋で、ぼわんとした明かりのなか、腹這いになって本を読んでいると、子ども心にもセーラの身の上がしのばれて、つらくなってくるのだった。

自分もすっかり重い足を引きずって屋根裏の階段をのぼってる気分のとこへ、あなた、ドアをあけると、あかあかと暖炉がともってるって、どうよ!!
私、このときばかりは、山盛りのフルーツとかより、その暖かさにひかれた気がする。圧倒的に。
なにせ、私が育ったのは、豪雪地帯で名高い北陸の富山県。
一度なんか、一晩で玄関が埋まるくらいの雪がふり、家の2階の窓から出入りしたことがあるくらい。
でも、当時の暖房と言えば、こたつに火鉢!!くらいですからね。
セーラちゃんだけじゃなく、北陸の雪にとざされた町(さすがに村じゃありません^^)の幼子にも、ドアをあけたとたんに温かさがつたわってくるそのシーンは、まさに夢の光景だったのでした。

「小公女」には、もうひとつ、大好きなエピソードがある。
下働きとなって日々こき使われ、満足に食事もあたえられないなか、セーラはある日、パン屋の店先で小銭を拾う。
これでパンが買える!
でも、迷いながらも、セーラはちゃんと店の主人にお金を届けるのだ。
「これ、落とされた方がおこまりではないかと思って・・・」
が、主人はいう。
「そのお金はあんたがパンを買うために、おちていたんだよ」
ほんとかよ!と、ここはさすがにちょいつっこみたくなりますが、ともかくセーラはパンを買って店を出る。
やっと、おなかが満たせる。
セーラがホカホカのパンを抱きかかえたとき、ふと、物乞いの幼い姉弟が目にとまる。
“するとー”と、私の好きだった本ではこう書かれていた。
“すると、どうでしょう。
セーラは袋から甘パンをとりだすと、その子どもたちに、わけあたえたのでした。
それを見ていた店の主人はいいました。
「あれまぁ、6つの甘パンのうち、5つまでもあげてしまったよ!自分だって、ひもじいだろうに。ごらん、あれこそ、本当の公女さまだよ」”

昔の児童読み物にはたいそう大仰な言い回しがあって、それがまた芝居気分をもりあげるというか。
まだ小3くらいだった私は、すっかりこのお話に感化され、「わたしも、いい子になりたい!」と熱望したものだ。
その結果は・・・・・・?!(へへ)

「小公女」の方は、ハッピーエンドで終わります。
父親の莫大な遺産が入って・・・・というのですが、実はこのお父さん、ダイヤモンド鉱山を掘り当てようとして、失敗。
失意のうちに異国で亡くなっていたのですね。
子どものころは、セーラのお父さんの職業までは関心なかったので。
物語に出てきた甘パンというのが、どんなパンだったのかたしかめようと、今さっきネットで調べて、あらら。
なんか由緒ある紳士かと思ったら、もしかして山師だったの?

山師!

ガリンペイロ。
ポルトガル語で金鉱採掘師のことをいう。
転じて、一攫千金狙いの山師の意味もある。

「太陽の汗 月の涙」というドキュメンタリーを見たのは、今からかれこれ20年以上前のことだと思う。古代マヤ文明を築き上げたインカの人々。
彼らの謂いでは、太陽の涙とは金、月の涙とは銀をさす。
あの謎の天空都市マチュピチュの偉容を思えば、マヤの不思議に想いをいたさないわけにはいかない。
が、その末裔の人々は、今、どう暮らしているかを追った番組は、あまり明るいものではなかった。
居留区に押し込まれたアメリカのネィティブの末裔の暮らしがそうであるように。

1980年代初期、南米はゴールドラッシュにわいていたそうだ。
世界各地から一山当てようという連中がおしよせ、岩山と格闘していた。
そんななかに、インカの末裔の一人もいた。
自嘲気味に答えた彼の一言が、今も私の心に残ってる。

「一発当てて、故郷に広い土地を買おうと思ったけど、実際に手に入ったのは、この爪のなかの土だけさ」

長い採掘作業の日々で、節くれだった手。
土まみれの手。
爪のなかの黒い土。

その昔、西部開拓時代のアメリカでも、ゴールドラッシュで人が押し寄せたけれど、実際に金を掘り当てた人は、ごくごくごくわずかで、それより採掘人のため破れにくいテント生地でズボンを作った男が大儲けをしたというのが、ジーンズのリーバイスのはじまりなのは、有名な話だ。

つまるところこの話の教訓は、夢より現実を見ろってことだったろうか。

“働けど働けど わが暮らし楽にならざりき じっと手をみる”
ご存じ石川啄木ですが。
“友がみなわれよりえらく見ゆる日 花を買いきて 妻と親しむ”
ワーキングプアの実感がこもってるというか、そうそうなんだよ、わかるなぁ・・・・とついため息の一つもでてしまいますが。
彼って、実はとんだ”じじいころがし”の名手というか”人たらし”だったって説も。
才能があるのに、貧困のうちに亡くなったときくと、たいそう悲劇的な気がするけれど、実際には億の借金を抱えていたとか。
億ってさ。
もちろん、彼にお金を貸した人は、彼の才能にほれ込んで、いわば投資(?)したわけだから、借金の嵩はむしろ彼の天分の証ともいえるのでしょうが。
それにしても、ね。

ところで。
この世界には、本当に宝石の降る星があるんですってね。
もしや、これって究極の棚ぼた?(^^)
ま、この世界たって、1350光年も彼方の宇宙のお話だけど。
NASAがこの6月に発見したってニュース見て、なんだか、しばらく嬉しかった。
かんらん石、別名ペリドット。
米粒くらいの指輪を昔、持ってたことがある。
ライムグリーンというか薄い黄緑色。
数千円程度だったから、宝石というのが照れるくらいのもんだけど。
でも、空を振り仰ぐと、あまたのキラキラ光る宝石が
降ってくるなんて、どんなにか美しい光景だろう。
え?当たったら怪我する??
んな意地悪は言いっこなしです。
夢のお話なんだから。

うんと晴れた冬の夜でも、ほんの10個ほども星の見えないここ東京でも、オリオン座はかろうじて見えます。
数が少ない分、四角に並んだ星があれば、あ、オリオンだとすぐわかる特典もついてます(^^)
ペリドットの降る星は、そのオリオンの近くなのだとか。

夜空をみあげれば、月も銀色に光って美しい。
いつの日かマチュピチュにと思いながらも、かなわない今は、”インカのめざめ”でもふかして、おいしいじゃがバターでもいただきましょうか。
宇宙の果てのペリドットと、ガリンペイロの爪の土に遠く想いをはせながら。

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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