世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

カゴシプタ

クリスマス連休で出国ラッシュが始まったと、
ニュースが伝えている。

23日、羽田だけで1万100人。

関空と成田をたすと、年末年始、海外旅行に出かける日本人は、
なんと150万人近くと予想されるそうだ。

ひゃ、ひゃ、ひゃくごじゅう万人ってさ!

今、日本の人口はざっと1億2,3千万だから、
な、なにかい?!

100人に一人以上の日本人が、これから1週間のあいだに
海外旅行にいくってかい???!!

うっそ~~~っ。

不況ってどこの国の話??

生活保護世帯数が150万件って、同じ国の話??

いや、責めてるんじゃありませんからね。

旅行に出る人を。

私も海外旅行大大大好きですもんっ。

たちょっとうらやましく、そして不思議なだけ。

 

この数年はいろいろあって、私にとって海外は
遠くなってしまっている。

でも、海外旅行はめっちゃ好き。

どのくらい好きかというと、
欲しいものをあっさりあきらめるのに、便利なくらい。
って言ったらわかるかなぁ?(^^)あはは、謎?

つまりです、パソコンでもバッグでも、
とにかくなんか欲しいものがあるんだけど、
高いよなぁと悩んだ時。

私がきまってつぶやく魔法(?!)の一言。

「これだけのお金があったら、ソウルに行ける!」

ソウルのかわりに、バンコックやハワイ、
ときにはパリが登場することもある。

すると、一気にガマンできちゃう。

海外に行くことに比べたら、物欲って全然、
欲求の熱が低いことに気づくんですね。

あぁ、ソウルへカゴシプタ~~~ッ(行きたぁいっ)!!

 

そうそう、私、海外に行くときは、
必ずその国の言葉をいくつか覚えていきます。

「こんにちは」「ありがとう」

それから「これ、いくら?」(^^)

「お名前は?」は子ども専用。

どこの国でも、子どもは好奇心いっぱい近寄ってくるし、
列車やお店で、ちょっと近くの子供に声をかけると、
とたんにまわりの人びとが笑顔になってくれる。

 

「このホテルには10年前に一人で来ました。

とても素敵だったので、5年前、父と来ました。

そして今日は、母と父と来ました」

そう片言のスペイン語で話すと、いきなりベラベラベラ~~~
とわけのわかんない言葉が返ってきて、

「すいません。わっかりませ~ん」とあわてたのは、
バルセロナのホテル・コロンでのこと。

すると、フロントマンはすぐ流暢な英語にきりかえていった。

「我々としても、大変うれしいです。

あなたたちご一家には特別にスィートルームをご用意しましょう。

どうぞ、この街での滞在を愉しんでください」

うっそ~~~っ!!

びびりましたがね。

ス、スイートルームっ!!!!

特別にってことは、無料アップグレードってことよね?

ホテル代は現地払いになっていたから、
実は支払いの日までひそかに心配だった。

なにせ、4泊分ですし(汗っ)。

チェックアウトの日、代金を見て、び、び、びっくり!!!

なんと、予約した普通の部屋よりさらに安かった!!!

うっそぉ~~っ!

どんだけおまけしてくれてんのぉ???

ディナーもしたし、洗濯も頼んだのにさぁ!!

 

初めてこのホテルに泊まった日は、
たしかバスでグラナダから入ったんだった。

できたばかりの高速道路で(!)
運転手は道に迷い(外国ではよくある!)、
バルセロナについた時には、深夜も近く,
街は真っ暗だった。

疲れ切ってホテルにたどりつき、
やっとこ部屋の窓を開けたとき。
息をのんだ。

すぐ目の前の漆黒の闇夜に、
巨大な聖堂がそびえている。

淡いライトをあびて厳かに浮かびあがる茶色い石の建物は、
あのガウディのサグラダ・ファミリア教会と並び称される、
この街のシンボルでもあった。

広場をはさんで、ものの数十メートル先、すぐ目と鼻の先に,
こんなにも圧倒的な偉容を誇る景色が広がっているなんて・・・。

 

天にむかってどこまでも垂直にのびていく
ゴシックの尖塔をながめていると、
中世の世界に吸い込まれていく気がした。

自分が日本人であることとか、旅行者であることとか、
ついさっきまでバスに揺られていたこととか、
仕事がなにでといった現実を忘れ、っていうか、
いやそもそも、自分の存在そのものがなくなってしまって、
ただ悠久の時間だけがそこにあるような・・・。

そんなとき、ふいに大きな白い流れ星が、
す~っと大聖堂の屋根に落ちてきた。

!!!

奇跡かと思った。

あまりに美しくて。

幻想的で。

が、じき、
鳴き声でそれが1羽のカモメであることに気づいた。

港町のバルセロナは、すぐ背後に海岸線が控えていて、
街なかを平気でカモメが飛んでいるんだった。

奇跡の正体はものの1秒足らずであっさりバレた。

ても、あのとき、あ、流れ星!!と思ったときの、
ドキドキは忘れられない。

 

二度目の滞在は、心臓の大手術から回復した父との二人旅。

偶然、同じ部屋だった。

当時、まだコロンは三ツ星で、大聖堂に面したその部屋も、
ごく普通の値段で泊まれた。

ただ、部屋の中に、もう一つ扉があって、
手前の部屋には甲冑が置いてあり、

「寝ぼけてたら、お化けとまちがえるな」

なんて、父は60歳すぎにしては、お茶目なことを言った。

手術の準備のために1か月、手術後の安定のために2か月、
都合3か月もの入院からからくも生還を果たした父は、
そのころスペイン語にこっていて、
死ぬ前に一目と憧れの地への旅を決行したのだった。

スペインの夜空は、思いのほか星が少なく、

「なんでかなぁ」と、私がつぶやくと、

「誰かが盗ったのかな?」

なんて、ロマンチックなことまで言った!!

おいおい、それ、別の誰か素敵な人に
言ってほしいんですけど、私・・・!!!

 

3週間にわたる初めてのロングバケーションで、
父は新しい町に着くたび、母に絵葉書を書いた。

今も、そのなかの数枚は私の部屋の扉に貼られている。

ついこないだまで、ちゃんと読めたのに、
今見たら、インクが退色して、ほとんど読めなくなっている。

が、ひとつだけ文面を覚えている。

「元気ですか?こちらは至極順調です。

安心してください。

今度は君と来たいです」

・・・・・・!

 

このハガキが功を奏してか、これから5年後、
いよいよ体調を崩した父が、本当に最後の旅行にでたいと言った時、
海外嫌いの母もうなずき、はじめて親子3人で、旅に出た。

そうして再度訪れたバルセロナ。ホテル・コロン。

改装して四つ星に生まれ変わっていたけれど、
小さな回転扉の入り口も、フランクなもてなしも変わらなかった。

なにせ、まだ日本人の個人客は珍しいのか(しかも親子3人)、
ドアマンがいきなり「MASAKI?」と
名前を呼んでカギを耳元でふって見せるのだ。

まだチェックインもしてないのにですよ?

「え~~、ポルケ?」

なんでわかったのぉ??と驚くと得意満面の笑顔で胸をはり、

「プレーゴ(どうぞ)」と、

大仰な身振りで扉をあけてくれる。

そんなことって、日本のホテルで経験したことあります???

めっちゃ特別な感じで親しみがあって、いいんだなぁ。

そうして、冒頭の会話になるわけです。

 

スイートルームというからビビったけど、なんとそれこそ、
前に泊まったとあの部屋だった。

甲冑の置いてあった部屋は、ちゃんとベッドがはいり、
小間使い(!)の私が使うことになり、
奥のご主人様の部屋を両親が使った。

スイートルームの窓をあけると、
相変わらず大聖堂は荘厳なたたずまいで、
広場には多くの観光客が行き来し、
大道芸人を囲む輪がそこここにあった。

前回は広場で市民たちが輪になって踊る
サルダーナ(この時はいていた靴をから、
サンダルって呼び名が生まれたんだそう)にくわわって、
照れくさそうに踊っていた父だった。

が、この時は、わずかの観光を終えると、
1日の多くの時間を窓辺のベッドで、
額に腕をあてながら、休んでいた。

開け放した窓からは、人びとのざわめきとともに、
日がな一日、大道芸人の奏でるフルートの調べが聞こえていた。

グノーのアベマリア。

この曲を聞くと、
きまって、旅先のベッドに横になっていた父の姿が目に浮かぶ。

 

花や果物に季節があるように、人にも季節がある。

そして、家族にも。

我が家の一番の旬な時期、幸福だった日々をあげろといわれたら、
このバルセロナでの短い滞在がきっと上位にくるだろう。

 

ピカソも通ったという古い定食屋で、
私のブラウスに年老いたウエイターがなにかをこぼした。

あわてて、ナプキンでふきとろうとするが、シミができた。

水でぬらしたり、あれこれウエイターは試みるが、
なかなか落ちない。。

もういいからというと、困り顔の老ウエイターは、
肩をすくめながら、ついにはハサミを持ってきた!!

シミを切る真似をする黒いチョッキの老人に、
私タチはもちろん、店じゅうの人が大笑い。

 

そんなできごとのひとつひとつが、今も愛しく思い出される。

10数年も前の話なのに。

海外旅行は、ごく普通の人にとっては、
人生の一大イベントだ。

行く前からわくわくして、
行ってるあいだは大変だったりもするけどドキドキ楽しくて、
行って帰ってから何年たってもきらきらして、
思い出があせることはない。

そんなこと、めったにない。

何日かの異国での日々が、何十年間も、特別な存在となる。

こんなお得なことってない!!

そう、行ける時には、どこでもどんどん行くのがいい。

絶対、いい。

とりわけ、海外は。

 

時々、私は夢想する。

もう一度あの大聖堂の前のホテルを訪れる日のことを。

「その昔、初めてこのホテルにきたとき、私は一人でした。

5年後、父と来ました。

それから、さらに5年後。今度は父と母と3人できました。

そして、今は・・・。父がいなくなり、母と二人で来ました」

それから、また幾年かして。

「母がなくなり、また振り出しにもどって、一人できました」

そんなふうに訪れる日があるかも、と。

 

そして、ついには、いつか私もこの世を去り、
ホテル・コロンは、ただ残された人々の私の追憶の存在となる・・・。

 

ま、今や、さらに高級化したらしいあのホテルに
泊まる財力があるかどうかも、すでに疑わしいんですけどね。
たははっ。

 

そういえば、リシャール・コラスという作家の
「旅人は死なない」という本のなかに、こんな一節がある。

“旅をつづけながら、旅人はほんの少しずつ自分自身をあとに残し、
そしてすれ違った他者の人生を少し持ち帰る”

 

私はなにを残し、なに持ちかえったかなぁ。

 

青春、朱夏、白秋、玄冬。

人にも季節はある。

この3月に突如奪われた多くの命を思う時、楽しく暮らすことが、
なんだかうしろめたい気がすることもあるけれど・・・。

いや、やはり、日々は明るく楽しくあってほしい、と強く願う!

 

どうぞ、来たる年が、平安でありますよう。

よい一年を!

 

Ilove you  too much、maybe three much!

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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