世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

海は見た!?

湿気をふくんだ風が髪をまきあげる。

空が高い。

ひさしぶりの青空に白い雲が流れていく。

トンビが上空をゆっくり旋回している。

山からはウグイスの鳴き声。

目の前は海。

右手に浮かぶのは、江ノ島。

クジラのような形がユーモラスで、くつろぎ感はもうパーフェクト。

東京から電車でわずか1時間。

片道1000円たらずで、こんな気持ちの良さが手に入るなんて!

いつもとまるでちがう景色、まるでちがう時間の流れ方。

 

湘南にくるたび、後悔する。

なんでもっとひんぱんに来なかったのかと。

 

湘南っていうと、なんだかすごくオシャレなイメージがあるけれど、実は、海じたいはフツーだと思う。

格別美しい砂浜がひろがってるわけでもないし、それどころか得体のしれない海藻がぐんにょり打ちあげられているビーチは、フツーにちょっとどうよって感じだし。

でも、なにかが、特別なんだなぁ。やっぱり。

東京から一番近い海だから、ってだけじゃないよね??

 

有名なのはサザンでおなじみの茅ヶ崎あたりだろうけれど、私のお気に入りは、逗子から秋谷へぬけるコース。

人人人のオンシーズンより、6月の今どきが案外いけてます。

 

ウイークディ。

そもそも、いつもとは逆方向の電車に乗るってだけで、なんだかワクワク。

東京からはJRと京浜急行があるけれど、よりサボリ気分を味わいたいなら、だんぜん京急を。

JRだと途中まで通勤客と一緒なので、「むふふ、みなさんはお仕事でしょうが、ワシはこれから海だもんねぇ」という優越感はひそかに味わえますが、それよか働きにいくみなさんの朝っぱらからうんざりした怒りにも似た空気にちょっとやられてしまうので・・・。

京急ももちろんサラリーマン度は高いけど、おばちゃんや職人率が高い分、キュークツ感が少ないかも。

それに、なんたったって、海が近い!!!

JRの逗子駅に対して、こちらはその名も逗子海岸駅!!

実際はものの5分も違わないのだろうけれど、大きなバスロータリーがひろがって街中っぽい逗子駅よか、細長いホームが一本で、いかにも行き止まりって感じのローカル感ただよう海岸駅のほうが、あぁ、着いた!って気になるのです。

 

海までは、初めての人でも地図なしに行けます。

矢印に沿って、歩き出せば、じき、小さな川に赤い橋がかかっているのに出会ったりして、いきなり旅気分。

こじんまりした町のこじんまりした道に、いかにも昔から住んでるお金持ちらしい立派な門構えの古民家があったり、

ゆとりのある奥さまが趣味のケーキづくりにあきたらなくて、ちょっとお店など出してみましたっ風なカフェがたたずんでいたり。

お、して、これは、逗子開成中高の矢印だ。

開成といえば、言わずと知れた東京の名門学校、御三家のひとつ。

へぇ、逗子に支店、じゃなかった、兄弟校があるんだ?

そっか、逗子に住んで、子どもを開成に通わせるって手もあったか?

同じ開成でも、ここなら入りやすそうだし。

なんて、子どももいないのに(結婚もしとらんかった・・・)考えた自分が可笑しくて、ちょっと苦笑い。

そういえば、生涯未婚者なる専門用語があるそうな。

50歳過ぎても結婚してない人を、そう呼ぶんですって。

私は結果的に未婚なだけで、別に独身主義でもないし、たまたま結婚しなかっただけなんだけど、生涯未婚者って呼ばれるとなんだかけっこうショック!

子どもがいないことを残念に思うことはあるけれど、別にこうなった人生をとりたてて後悔はしてないつもりだけど、生涯未婚者ってくくられると、なんだか妙な寂寥感と憐れみをおぼえなきゃいけない気にさせられて、ちょいむかつくんですけど・・・・。

あ、いかん、いかん。

せっかく日常のしがらみから逃れて、自由の風にふかれているのに、ぐだぐだつまらんことを・・・。

さ、では、せっかくついでに細い路地をぬけて、名門私立の校舎でものぞいてみますか。

松林に囲まれた校舎は、まさしく林間学校のてい。

こんな所なら、いい感じで勉強がはかどりそう。

なんてね。ちょっと言ってみました(へへ)

とりあえず不法侵入しないよう、そこらの小道を適当にたどっても、潮騒が聞こえてきて、家と家の間に手のひらほどの水平線が見えて、ちゃんと海にでられるので、ご安心を♪

 

この時期、浜には朝から槌音やらドリルの音が響いてる。

あちこちで、海の家が建築真っ最中なのだ。

砂浜には車輪あとが大きくうねり、まだ骨組みだけのハウスが子どもの積み木みたいに並んでる。

大きな天幕や瓶が積まれているのは、流行りのオリエンタル風テラスでも、こしらえるのだろうか。

 

葦簀(よしず)に簀子(すのこ)、簡単なシャワーとくさいトイレ。

強引な呼び込みのお兄さんは、日焼けなんてもんじゃなくテッカテカに黒光りしてる。

金歯の光るおばちゃんが作るヤキソバ。

具もろくにないわりにはボッてるけど、不思議とおいしかったなぁ。

そんな昔の海の家とくらべたら、段違いのおしゃれさ。

あ、そこだけはさすが、湘南か。

 

でも、シーズン前の今はまだ、オシャレのかけらもなく、渚はひたすらローカル色のみ。

漁師のおっちゃんが、ひっくりかえしたビールケースに腰をおろし、網をつくろっている。

小岩の上で新聞紙大のパネルのようなものが銀色に光を反射している。

こんなところにミニソーラー??と思ったら、なんと中身はアジかなんかの開き!

干物のハエ除け網が光ってるんだった(へへ)

犬が散歩している。

いかにも地元ティな女性やご主人。

すれちがうとき、ごく軽く会釈する加減が、ちょいおハイソ。

赤ちゃんを抱えた若いお母さんが、波うちぎわを裸足でゆ~ったりゆ~ったり歩いている。

スリングだっけ?カンガルーの袋みたいな布にいれた赤ちゃんを覗きこむしぐさが、優しいけど少し疲れているようにも見えるのは、気のせいだろうか?

花火の燃えカス、砂に半分埋まったペットボトル。

楽しい時間のかけらが残ってみえるのは、どこの渚も同じ。

赤と黄色の小さなプラスチックのスコップ。

忘れていった子供は、泣いたかな?

 

逗子、森戸、一色、葉山と続く海岸線は、そのまま有無をたどることはできず、いったん一般道路へあがらなくてはならない。

渚伝いに行くことができたら、もっとステキなのに・・・。

シーズンでもないのに、海側に一本しかない道路はいつも混んでいる。

白い線で申し訳程度につくられた歩道を歩くときは、ご用心を。

それでも、今ではもう見かけなくなったような平屋の小さな店が、軒先にパンパンにふくらんだ浮き輪や西瓜の形のビーチボールやムギワラ帽子を盛大にぶらさげてる光景を見ると、いきなり昭和の子供時代にもどって、懐かしさがこみあげる。

夏休みの間、毎日毎日かけていっていた海。

木陰に腰を下ろして食べたおにぎり。ゆでたまご。

海からあがったばかりだから、濡れた手も顔も天然の塩味で。

目かくしをして恐る恐る足を運ぶ、西瓜割り大会。

みごと命中したはいいけれど、高く振りかぶりすぎて、西瓜はあわれ四散の砂まみれ。

ブースカ文句を言われながらかぶりつく赤い果肉の甘いこと、おいしいこと。

汁がたれたアゴがかゆくって、肩でぬぐいながら、なおほおばり続けて「皮までたべるんじゃないのっ」と笑われたこと。

あんまり長いこと浸かりすぎて、海からあがったときには、唇はすっかりムラサキに。

ぷるぷる震えている肩を大きなバスタオルでつつまれ、さしだされたあったかい麦茶の死ぬほどおいしかったこと・・・・。

お盆を過ぎると、クラゲだ出るからもうオヨギに行っちゃ駄目といわれ、え~~~っ!!どうして~~~っ!!とぶんむくれたこと。

縁側に大の字になって、バタバタ両足を蹴って、ごねたこと。

真っ赤に日焼けした肩は、シャツを着るとすれて、めちゃくちゃそ~~~っと脱ぎ着しなくちゃならなかったっけ。

自然にむけてくるのが待ってられずに、これまたそ~~~っとむいた皮。

誰が一番大きな面積の皮がむけるか競争したりして、こどもって、ほんと、バカ。

何があんなにウッキキキャッキャッキャ楽しかったものか。

 

それがどんなにかけがえのない時間だったか。

 

きれいにむいた皮を陽にすかすと、小さな毛穴やシワのあとがあると発見して、得意げに教えてくれたのは、コウジ君だったかな?

 

岩場が多く、磯の水たまりに、小さな虫やからだの透き通った小さなエビみたいなのがいて楽しいのは、森戸海岸。

乾いた岩を選んで飛び歩かないと、すぐバランスをくずしそうになるから、足もとに集中して、ちょっと平らな岩にたどりつき、ふ~~っと顔上げれば、海の向こう、ヨットがきれいに列をなして進んでいる。6艇、7艇・・・。

まるで白い蝶々が集まってるみたい。

そうか、そういえばさっき、壁に慶応大学ヨット部とペンキで書かれたハウスがあったっけ。

中央大学の合宿所も。

優雅なもんだなぁ。

湘南のセレブさって、こんなところにもあるのかも。

 

そうそ、一般道にあがってすぐのところには葉山マリーナもあったしな。

バブル華やかなりしころ、あのユーミンがよく夏の野外コンサートなんか開いていた場所。

ずらり並ぶボートや大型クルーザー。会員様以外立ち入り禁止の駐機場。

高々と立つマストの白さがどれも誇らしげで、眩しい。

 

そして、忘れてならないのは御用邸だ。

葉山を葉山たらしめているのは、もしかしたらこの御用邸かも。

言わずと知れた、天皇家の夏の保養地。

葉山海岸の砂浜の上をほぼ全域にわたって占める御用邸の長い塀。

でも、その一部はちゃんと公園になって一般市民にも開放されているし、塀もそんなに高くなくて、威圧感は少ない。

天皇一家が訪れるのは、年に何週もないだろうけれど、ちゃんと小さな交番みたいなボックスが両端に立っていて、常時お巡りさんが見張ってる。

けど、もう夏服できれいなブルーの半袖姿のお巡りさんは遠目にもなんだかリラックスしている。

もちろん不審者には目を光らせてるんだろうけれど、毎日、こんなふうに海を前に、潮風に吹かれてるなんていいなぁ。

 

炎天下のつらさは想像にかたくないけれど、それでも、人もまばらな今のような季節は、いい仕事に思えてしまう。

毎日海を見ていたら、風の向きや雲の形で、天気が読めるようになるんじゃないのかなぁ。

よくないですか?

お巡りさんの気象予報士って。

今日は江の島がガスってるから、午後から気温は上昇するでしょう、とか。

富士山がすっきり見えだしたから、もう秋もまじかです、とか。

 

毎日、海を見ている生活と、山を見ている暮らしと、都会のビルだけを見ている毎日じゃ、一日のありようがそりゃぁ違ってくるよなぁ、やっぱ。

 

さぁ、しおさい公園をぬけたら、もう長者ケ崎は目前。

ちょっぴり黒い砂浜に、ひときわ人気のない秋谷海岸まではあと一歩。

ずっと裸足で波打ち際を歩いてきて、ちょっとくたびれたなぁと時計をみたら、ざっとここまでで2時間。

気がつけばまだお昼にも間があるけれど。

すがすがしい朝の貴重なお散歩タイムのしあげには、どこぞで眺めのいいカフェでもみつけるといたしましょう。

 

その気になれば、いつもと違う贅沢な時間は、わずかなお金と労力で手に入るもんなんですね。

 

ヘビーな恋愛問題に悩む友人をはげますために、女友達が集まった葉山への旅。

みんなで渚をゆっくり歩くなか、一人だけ妙に足早になってく当事者のMちゃん。

どうした?と案じると、彼女は一言。

「もう、海は見た!目的地はどこよ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!

ばっかも~~~んっ!

海じたいが目的だよぉ~~~っ!!

潮風に吹かれれば少しは気でも変わるかと、はるばるここまできたんじゃろぉがぁ~~っ!!

だいたい、海って、もう見たとか、そういうもんじゃないだろう???っ!!!!

みんなからいっせいにヒンシュクをかった日から幾星霜。

そのMちゃんも、その時の人とは別の人と、今は幸せな暮らしを送っている。

 

時は流れ、潮目も変わる。

波は、ひたすら寄せては返す。

 

いざ、海へ。

夏のはじまる前に。

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

診療時間

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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