世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

歌舞伎はいかが?

新しい歌舞伎座が完成したと、ニュースが伝えていた。
へぇ。おととい、通りかかった時は、まだ壁塗ってたけど。
正面じゃなく横手の扉の上の小さなスペースだったけど、職人さんが一人でころころローラーでぬりなおしてるふうだったけど。
しかし、見てきたばかりの光景が、テレビの画面から流れてるくるって、なんだかちょっと不思議な気がするもんですね。
新しい歌舞伎座は、以前とほとんど変わらない。後ろに高いタワーがそびえてるけど、意外と圧迫感はない。むしろ、
ちょっと開放的な感じになったかも。
特に横手はガラス戸の開口部が広く、大道具の搬送口らしいとこもすっかり見えて、わぁ、さすがに天井高いわぁ。
以前は、黒い塀がぐるり取り囲み、内部まったくはうかがいしることができず、小さな裏木戸から、たまに黒子のかっこうした人が出てくるのを見かけたりすると、なんか、内緒のできごとでも目撃したような気分になって、ちょっとどきどきしたものだ。
それがまたちょっと若い子だったりすると、おぉ、伝統芸能を下から支えているのね、えらいわぁと、ちょっとかっちょよく見えたりして。
ん、新歌舞伎座、おすすめかも。

でも、歌舞伎って、おもしろいの?
そう聞かれると、私は即答する。うん!!すっごく!!と。
だって、あんなめちゃくちゃなエンタテイメントって、そうはないよ!
だって、面白くするためなら、もうなんだってあり、なんだから、ほんと。
だってさ、普通のお芝居でさ、たとえば、途中で主演俳優が役を交代するなんてことあります?しかも、観客にはなんのことわりもなく、1幕目と2幕目で、役が代っちゃってるんだよ?
2幕目はそのもうひとつの役の方がかっこいい場面が多いからってだけでだよ??!!!そ、そ、そんなぁ!?
私、目疑ったもん。初めてそれ見た時。
なんのお芝居だったかも、今は昔のことすぎて覚えていないけど。
で、3幕目には、また元の役にもどっててさ。平気で。
究極のスターシステムっていうんですかね。
もう、すべては主役をもりあげるためにある、みたいな。
主役がこれからいっちゃんかっちょいい長セリフをいう時に、な、なんと舞台上の役者が全員くるり、後ろむいたこともありますから!!!!
一体、なにごと??と、初心者の私は唖然。
けど、客席はざわつきもせず、平然と舞台をながめやっていた。
つ、つまり、主役だけを目立たせるために、全員後ろをむいてしまったのだぁ~~~!!
さすがに、その後、そんな演出には2度と出会ったことはないが、絶対に私の思い違いじゃないってことだけは、確かだ。
よく、主役が両手をひろげてか~~~っっかっかっかっかっとかって、見得を切るっていう所作があるけど、あれなんて、いわば”一人クローズアップ”だし。
大捕り物って、主人公が役人から追われるシーンなんかも、最初はチョンチョンチョンと、刀を型通りに交えるだけなんだけど、だんだん白熱してくると、そのチョンチョンがちょこっと早くなる。
と、ほんのちょっとスピードアップしただけなのに、観客の目にはものすごい大立ち回りに、ちゃんと見えてくるのだ!
緩急のぐあいが、スピードを生むんですね。
追われてる主人公はどこまでもかっこよく、追う方にはたちていちょっとマヌケがまじってて、そういうやつはおデブで真赤な鼻をしてありと、一目でわかるのも、いいでしょ?

ストーリーも、実は、たいして難しくない。
主君の仇討だったり、遊女とあほな若旦那の恋物語だったり。お家再興のための艱難辛苦とか。
落語をもとにしたお芝居なんかもあるし。
歌舞伎の興業は、普通のお芝居と違って、一つの物語を初めから終わりまでというのは、少ない。
よく知られた物語の、いい場面だけを2幕ほどやって、あとは踊りとか。それも、やっぱり、お客さんのための”いいとこどり”なんだろなぁ。
忠臣蔵なんかは、話の発端からエピローグまでやることもあるけれど、そういうのは”通し狂言”といわれて特別な芝居に限られている。
私が好きなのは、”身替り座禅”
浮気なご主人様が、遊び女のところにいきたいのだが、奥方が怖いので、祈祷のため離れのお堂にこもるから誰も入ってはならんと、うそをついて抜け出すというお話。
頭からすっぽり自分の着物をかぶせた家来を身替りに、まんまと逃げだし、ほろ酔い加減でもどるや、いい女だったのなんのと家来にぺ~らぺら。
が、家来と思ったのは、夫のたくらみに気づいて、かわりに着物をかぶって待ち構えていた奥方でしたとさ!!
最後はご主人さまが奥方においかけまわされて・・・って終わるのだけど、この奥方役をやるのが、きまってふだんはバリバリ立ち役(男役)の人気役者。
吉衛門に幸四郎、仁左衛門、菊五郎、左団次まで!
一方ご主人役は、勘三郎だの、団十郎だの。
二人とも,あいついで鬼籍にはいってしまったけれど、ほろ酔い加減で女のもとから帰ってくるときの、ぽわぁっとした表情のなんとも可愛いかったこと。なんせ、客席から笑いがもれるんですから。もう、ほんと、しょうがないんだからって。
どうにも憎めないんですよね。
おおらかで、愛される人柄じゃないと、この役には似合わなかった気がする。その意味で、主人役にはこの二人が一番だった気がする。
悲しいというより、もうすでに懐かしい。
懐かしくて、思い出すと、心にぽわんっと明かりがともる。
あの、ほろ酔い加減のご主人様がもたらした、あったかい空気とともに。

 あれはいつのことだったか。
三宅坂の国立劇場に忠臣蔵を見にいっていた時、幕間にロビーに出ると、雪が降っていた。わぁ、すごい。きれい。
今見たばかりの討ち入りの雪と、外の雪が重なって、一瞬芝居と現実が地続きになった気がした。
客席にもどってしばらくすると、場内アナウンスが入った。
“雪のため、交通に支障がでています。遠方よりお越しのお客様はお早めにお帰りになさいますようお願いもうしあげます”
芝居はあと1場、討ち入りを果たした四十七士が永代橋を渡って勝鬨をあげる終幕をのこすのみだった。
かなりの客がひきあげていったけれど、友人と私は、都内なんだからなんとかなるよねと、残った。
最後までたっぷり芝居を楽しみ、外へ出ると・・・・!
もう、すごいことになっていた!雪、雪、雪。
しかも、国立劇場の目の前は、皇居なのだ。
松並木にこんもり雪がおおいかぶさり、お堀の石垣に雪がはりついてる光景のなんと美しいこと!
横なぐりの雪が、堀の水面にすいこまれてゆく。
日はとっぷりと暮れ、水銀灯の明かりが心もとなくて。
劇場から吐き出された人々は、どこへ消えたのか。
団体用の大型バスが数台発進していき、取り残された私たちは、行き交う車もまばらな雪まみれの大通りで、なかば途方に暮れ・・・・
が、そのとき、奇跡的に空のタクシーが目の前を通りすぎ、私と友人はおおあわてでマフラーを振り回し、幸運にも車中の人となった。
となると、急にお大尽気分で
「運転手さん、先にちょっと皇居まわってもらえます?」
なんて言ったりして、ちょっとイヤな顔されたりして(へへ)

その時見た雪景色の東京の美しかったこと、美しかったこと。
雪と闘いの日々を送るうんざりしきっている地の人々には、雪がきれいだなんて、どんな戯言かと我ながら申し訳ないけれど。
でも、あの日の忠臣蔵がいきなり地続きになった時の気分と雪の美しさは、忘れられない。
“歌舞伎”と切り離すことができない。

究極のお客様主義は、究極のご都合主義でもあって、歌舞伎の必殺技には、こんな2大セリフがある。ひとつは
“しえ~~~~っ、そういうお前は”
というもので、なにのなにがしは実はだれのだれべえで、正体を隠していた味方でしたとか、実の兄妹でしたとか、敵でしたとか、いうもの。もうひとつは
“幸い、ここに”
と、脇役のばあさんとかが取り出してくる箱や小道具で、
おかげで仇討とか、物語がすんごく都合よく進むのだ。
いやぁ、もうびっくりしますよ、ほんと。
リアリティとか一切なし。
普通の脚本家とかだったら、わざとらしすぎてお話になりませんよね、とか敬遠しそうなことを、平気でやる。
けど、それが楽しさというか、面白さなんですね。
で、リアリティがないから、感情移入できないかと言ったら、そんなことはまるでなくて。
笑ったり泣いたり、腹がたったり、お芝居を見てる間中、たっぷり気持ち入ります!見終わったあともね、むろん。

最小限の表情の変化で恋する女のいじらしさをみせた『廓文章』とか、一転、くどくどくどくどしつこいくらいのリアリティと奇妙な笑いで歌舞伎に新しい次元をきりひらいた『牡丹燈篭』とか、坂東玉三郎についても語りたいことはいっぱいあるけれど、”今日のところはこれきりにて”。
そう、これからがいいとこなのに、時間だからってばさっと幕を下ろす!なんてことも、歌舞伎は平気でやります(へへ)
おそるべし、伝統芸能。
ともあれ、一度は見にいかなくては!!

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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