世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

京都にて

京都に来ています。
ってか、ほんとは大阪だけど、一応途中下車したし(へへ)

大阪に行くといっても、誰もうらやましがらないし(^^)。

それが、京都って言ったとたん、わぁステキ、いいなぁとなるから不思議。
究極のブランド力ですね。

4月なかばの京都は、例年なら桜が満開。
けど、今年は2週間も見ごろが早まり、京都駅の観光案内書の桜情報も、
“見頃”はほんの2,3か所で、あとは全部、”見頃終了”のマークが!!!!
なんてこった!
でも、いっそ、あきらめがつくってもんです。
へんに遠まわしに、さて・・・とかいわれるより、”見頃終了!”って、きっぱり書かれてると、
まったく期待しませんもん。

でも、観光客の姿だけは山とあった。
なにせ、帰りのおみやげ、駅の周辺ほぼすべての店でうず高くつまれている”赤福”が、
みごとに売り切れだった、と言ったら、そのすごさ、少しは伝わるでしょうか。

日曜ということもあって、駅前のバスロータリーには、ともかくこれでもかって人の山。
長蛇の列。
行先方面別に、有名寺院や神社の名前が書かれたノボリが立っているんだけど、
一番人気はやはり祇園や八坂を通って、銀閣寺に行くコースかな。
一台じゃ乗り切れず、どうしたらいいか、バス乗り場案内おじさんのまわりにも、
二重三重のひとだかり。
混雑してるバスに、でっかいスーツケース引っ張って乗ってくる観光客も多いから、
なんだかもう大変なことに。
でも、私の行きたい岩倉実相院方面は、いつもすいてるから平気だもんねぇ
、うっふっふ・・・と思ったら、な、な、なんとバスがなくなっていた!!
えっ、は、廃止??不採算路線で?
2年前は、乗ったよ、たしか・・・・!!
いつも空いてる=人気ない=廃止ってことだったのね・・・。

結局、京都には午後2時についたのに、バスを乗り継いで岩倉につき
、お世話になった方のお見舞いという本来の目的をすませたら、
もうあっというまに時間はなくなって、どのみち桜どころではないのでした。

で、大阪についたら、夜の心斎橋はすごいことになっていた。

私と同世代の人々には、オウヤンフィフィの♪こぬか雨ふる~御堂筋~♪でおなじみの
あの大阪のメインストリートの商店街は、わんわかわんわか
居並ぶすべての店が自分ちのテーマソング流してるんちゃうん??みたいなにぎやかさ。
それに負けじと呼びこみのお兄ちゃんやらギャルやらが
脚立によじのぼって大声あげたり、飛びあがって商品名連呼したり。
右側通行とか左側通行とか、人の流れって自然にできそうなもんだけど、
それもなく、ともかくぐちゃぐちゃ。
みんな好き勝手にあっちよりこっちより、人波を縫っていきかう。

大きなバッグをひっぱてってる外人さんや、記念写真とってる観光客が
あっちこっちで邪魔になってて、
いかにも地元の家族連れの子供がぴいぎゃぁ親の手をふりきって
逃げようとしちゃ怒鳴られ、恋人たちはわれ関せず見つめあってノロノロ歩き、
店の明かりはどこもパチンコ屋かと見まごうほどの明るさと派手さで。

中国語に韓国語、英語にタイ語、
??ん?なんか宮崎あおいのCMみたいな言葉はフィンランド語か?ってくらい、
なんかともかくいろんな言葉がいりみだれて、その賑やかなこと賑やかなこと。

思わず、母がつぶやいた。
「ねぇ、大阪の方が全然勢いあるんじゃない?」
「だよね~?」
銀座なんか、夜8時をすぎたら、人なんかびっくりするくらいまばらになるよ?
日本一の繁華街がこんなことで大丈夫なの???
って、ほんと、不安になるもん。特に最近なんて。
まぁ、銀座は繁華街といっても、そもそも品のいい特別な街だから、
夜の賑わいなんて、バーとか高級レストラン以外、あんまり関係ないのかもしれないけど。

あ、そっか。
心斎橋は、渋谷と新宿と原宿とあわせたようなもんだと思えばいいいのか?
だったら、この活況も納得いく。
・・・いや、でも、やっぱ、こっちのほうが元気だわ。
勢いある。
ってか、なんか楽しそう!!!

「みんな、気取んないからじゃない?
やっぱり、東京って、ほら、みんなカッコつけなくちゃならないから。
手いっぱいなんじゃない??こんな楽しむ余裕ないのよ、きっと」
それにしても、すごいわねぇ~~。
母は、私のうでに身をよせるように歩きながら、アーケードを見まわす。
「おもしろいわねぇ。がぜん、燃えちゃうわ」
「疲れない?そろそろホテルもどる?」
「まぁさか。なんのこれしき。だてに戦争いきぬいてきてるわけじゃないんですから」
母は、ちょっとおどけて首をふった。

この6月で83才になる母は、MRI検査で脳の委縮が認められたばかりだ。
「外に出ることですね。刺激があると、この数値は改善することもあるんだから」
かかりつけの医者は、当人にはショックだろうからと、娘の私にだけ、そう告げた。
久しぶりに旅行に出ることになったのは、実はそれもひそかな目的のひとつだったのだ。
・・・私だけの。

少し静かな通りに出、ちょっとおしゃれなオープンカフェで軽い夕食をとった。
「パリみたいね」
本当はソウルみたいだと思ったけど、私はそうだねとうなずいた。
(ソウルには、巴里っぽいカフェがいっぱいあるのだ)
少しすると、となりのテーブルに、家族連れがすわった。
40半ばくらいのちょっとかっこいいご主人と、きれいな奥さん、それに20才前後の娘と息子。
さほどおしゃべりをするというほどでもなかったが、4人はケーキとお茶を楽しむと、
すっと席を立っていった。
「いいわねぇ、苦労がないって感じよね、いかにも」
「わかんないよぉ。なんかミステリーみたいに、いろいろあるかも。なんてね。いや、ゆとりありますよ、確かに」

ってか、東京じゃ見ない気がする。こういう光景。
娘だけならともかく、あれくらいの若い男の子が、親や家族と連れだって、ケーキ??
しかも、ごくフツウにいつもそうしてるって感じ。
う~~む、謎。
いや、素敵な光景ではあったのですよ。
ただ、なんかちょっとね、オイオイ、若者よ、キミ、反抗とか、そういうのはないんかい??ってね、ちょっと疑問だっただけです(^^)

ホテルの部屋にもどると、母はガラス窓にぴたんとおでこをくっつけ、
銀杏並木が揺れる夜の御堂筋を見下ろし、小さく嘆息した。
「ほんと、きれいねぇ」

翌日、高野山へ向かった。
弘法大師・空海でおなじみの高野山は、いわずとしれた真言密教の聖地。
四国八十八か所めぐりを成しとげた人々が、結願と言って、最後に訪れる場所でもある。
大阪難波から南海電車でざっと1時間半。
その名も”極楽橋”なる終点でケーブルを乗りつぎ、山上についたらバスでカーブの多い一本道をいくこと、さらに10分。
最初の停留所が、女人口。
昔は女性の入山が禁じられていたとかで、”高野山”の碑のあるまさにこの門を前に、
引き返さねばならなかったそう。

我々が初めて高野山を訪れたのは、15年ほど前のことだったろうか。
父が亡くなり、大好きだった京都は木津の流れ橋に、わずかながら散骨をたずねた時、
なんとなく足をのばしたのが初めだ。
やはり今くらいの遅い桜の時期で、高野もせまい山中を大型観光バスが何台も連なって
およそ聖地とはかけ離れているように思われた。
ところが。
午後も3時をすぎ、団体の観光客がつぎつぎひきあげていってしまうと、
あたりの空気が一変した。
車も人の姿もまばらになった山あいには、杉木立と、
寺寺の低い瓦塀が連なるだけで、物音ひとつしない。
時間が止まった??
夕暮れどきが近づくと、その不思議はさらに深まる。
人影の絶えた道を脇に折れてみる。
すると、高い杉並木に囲まれた細い道の先が、青霞につつまれているではないか。
本当に色がついているんです!空気に。
うっすら青い霞がかかって。
・・・・美しい・・・
いや、清浄というんだ。
聖地なんだわ、本当に。
深呼吸すると、細胞のすみずみにまでその青霞がしみ渡っていく。
晩春とはいえ、山の上の空気は、夕刻になるとにわかに冷いやり感じられて、
それもまた一日の穢れを清めてくれるように思われたのだった・・・。

こうしてすっかり聖地の清浄さにひかれ、訪れることついに5回目。
?なに?ずいぶん信心深いんですねって???
・・・・いやいや、それが・・・。
われら親子が、奥之院と呼ばれる、弘法大師様の眠っていられる場所へお参りする間、
話していることといったら・・・。
「ねぇ、ちょっと。それにしても、最初にここ考えた人、当てたと思わない?」
「・・って、空海だよぉ。当てたもなにもないでしょっ」
「あはは、それもそうね、でも、この燈篭、一基100万として、いったいどんだけあるのよ。これも寄進、これもご寄進でしょ?」
・・・あのさぁ、せめて、お堂の中で言うの、やめない??
だいたい、一基100万かどうかもわかんないし。
勝手に決めんの、やめない??
「あ、でも、確かここのえらいさんよね?投資に失敗して、
何十億ってお金フイにして、解任されたの」
「だいたい、坊さんがハイリスクの投資なんかしてどうすんのよね
どうせ、他人からのもらいもんだからいいと思ったのかしらね?
浄財浄財なんて言っちゃいるけどさ・・・」
というわけで、信心などどこへやら、もっとひどいことを次々言いつのるので、
ここから先は割愛させていただきますです。

同行二人、本来無東西、何処有南北
お遍路さんのかぶった傘にそう墨で書かれた文字を見た時は、
正確な意味はわかんないけど、なんか意味するところがありそうで、
ちゃんと感動したんだけどなあ・・・。

わずか2泊3日の旅は、そうしてあっというまにすぎた。
旅のおわりは、ふたたび京都。

「ねぇ、新幹線、何時?」
急に同じことを1分おきに10回も20回もくりかえし、
私に悲鳴をあげさせる母は、帰りにやっぱり嵐山によりたいと言い出した。
もう陽もかたむきかけているというのに、言い出したら、きかない。
こんな時間、嵐山いきのバスにのるのは、地元の人ばかり。
それも、腰の曲がったじいさんばあさんのてんこ盛り!
乗り降りするのにいちいち時間がかかり、ただでさえ、時間は遅いのにと、
私は一番奥の席でいらいら。
いや、ほんと、京都のバスってめちゃくちゃ老人率高いんです。
あ、東京もか?

ともかく均一区間もすぎ、ようやく嵐山ももう数停留所というとこまで来た時、
問題は起きた。
運転手さんがマイクで声をあげる。
「あかんよ、ちゃんとお金はらわな。なに、何処でおりるん?
え?ちょっと?ちょっと。いつもどうしてんの?え?
老人パスで乗っとんの?え?もっとらんの?家、どこ? 」
相手の声は聞こえないが、どうやらお金がないらしい。
「あかんよ、ちょっと。待って?」
イヤな空気が充満し、ひそかにざわつく車内。
ついに、客はむりやり降りてしまったらしい。
「ちょっとぉ、お客さん!なぁ!」
あんた、小銭ある?と、母が立ち上がりかけた時、
運転手さんは降りてしまったじいさんに、呼びかけた。
「なぁ、家どこ?いいから、乗っていき?」

何回かくりかえしたけど、返事は返らなかった。
「お待たせいたしました」
バスは静かに発車した。
停留場の石塀に、ただのりするはめになった老人が、うなだれているのが、窓から見えた。
〝悄然”という言葉がぴったりだった。
ぼけてはるんや・・・とだれかが小声でいうのが、聞こえた。
でも、いい運転手さんで、ほっとした・・・。

嵐山は、美しかった。
桜は終わっていたけれど、なだらかな山は緑におおわれ、空が広い。
堰の水音があたりをはらう。
観光客の人波はほぼ去って、渡月橋のたもとにたたずむ人力車の引手だちも、
そろそろひきあげだす刻あい。
川辺に腰をおろし、母が
「ここが、一番好き」
と、目を閉じる。
それから、ふっとつぶやく。
「お母さんも、気をつけなくちゃ・・・」
あの年寄りのことを言っているのだと、すぐわかった。
嵐山の爛漫の春をもってしても、先刻の光景はかすかに影をさす。
いつか、母にもそんな日がくる。…私にも。

「ねェ、新幹線、何時だっけ?」
「もう何十回言わせんのよっ」
うんざり声を荒げる私に、母は言った。
「何十回でも言えっ!」
その言い方が可笑しく、わたしたちは顔を見あわせ、笑いあった。

愉しい時の合間にも、ひょこひょこっと現実は顔をのぞかせる。

あと、どれほど、こんなふうに、私たち親子はののしったり笑いあいながら旅に出れるのだろう。

あなたの旅は、どんなだろう?

どうぞ、よい旅を。

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

診療時間

診療時間表

休診日
第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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