世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

夏の終わりとカセットテープ

♪アレクサンドラァアレクサンドラァ~
ソ連映画『モスクワは涙を信じない』の挿入歌。
地方からちょっとしゃがれた低音の歌声を聴きながら、今これを書いてます。
出てきた女の子が都会で就職して、
恋したり傷ついたりしながらも懸命に生きて、ほろ苦さも知る大人になりましたっていう、
ありがちなストーリー。
しかも、なにせ30年も前のソ連時代の作品だから、可愛い女の子っていってもう限度があるし(すいません。偏見かしら?)男性陣にいたっては、さらにもう・・・・。
けど、面白いのはバリバリの共産圏だろうとなんだろうと、チャラ男はチャラ男で
そのすかしかたや心の無さは万国共通だってこと。時代も越えてるし。
主人公の田舎娘は、この手の心なし男にいとも簡単に。ひっかかる。恋におちる。
放送局につとめるやり手男は、くどく時、ベサメムーチョのレコードをかける。
ラテンムードたっぷりのサックス演奏は、
当時はきっと都会的でいかした恋の演出だったんでしょう。

むろん、絵に描いたように、この恋は田舎娘が遊ばれ、捨てられて終わる。
傷ついた娘を見守る、大人のいい男がいるのも、メロドラマの定石。
あ、それとも、少しあとになってから出会うんだったろうか。
なにせ昔一回見ただけだから、ちがっててもお許しを。
ネットで見れば、正しい筋はわかるけど。
なんだろう、記憶だけをたどって、語りたいこともあるんですね、きっと。

10年くらいたってるのかな?
娘は今ではそこそこ成功して、そこそこ豊かな暮らしをしてる。
悪くはない人生。
けど、恋人のいない人生はなんだかちょっとわびしい。
仕事で何か問題があったんだか、なんだか。
ともかく疲れた彼女に、暗い空の下、男は焚火をくべ、コーヒーをいれてくれる。
そして、ギターをとりだすと、弾き語りはじめる。
ちょっとしゃがれた声には人生の苦みと、慰めがある・・・。
いかにも寒そうな晩秋のモスクワ。
ひろがるのは、花もない雑草だらけの野原。
でも、ぱちぱちはぜる焚火の色は暖かくて、かじかんだ心までゆっくりととかしてくれる。

たぶん、その後、一度テレビで流れたのを、友人がビデオに撮ろうとして失敗、かろうじて、
この歌の部分だけカセットテープにとって、くれた。

一時、いまは無き六本木WAVEや渋谷のワイズ&フールでCDを探したことがあるけれど、
手に入らないまま、幾星霜。
いまはネットで手にはいるんだろうけれど、
神田神保町のロシア書店まで探し出したりした日々が愛しくて
検索しただけに終わってしまってた。
“ビソツキー”というのが、その歌手の名前。
店でうっかり”ソビエツキー”(ほら、ソビエトの人なんで)を探してるんですけど・・
なんて言って、怪訝そうにされたことが、なんだかやけに懐かしい。

貴重な♪アレクサンドラ~は、よけたけれど。
実は只今、本やカセットならびにビデオの絶賛処分中なのだった。

なにもいまはやりの”終活”にはいったわけじゃありません。
断捨離なわけでもない。
ただ、あまりに量が多くて、母が毎日のようにくりかえすのだ。
「いいかげん、どうにかならないの?」
母はつくづくうんざりしたようにため息をついて、私の部屋を出ていく。

“エントロピーは増大し、カオスが発生する”
昔、哲学科の友人が、部屋がかたづけられない言い訳に、
わざと難しい言葉持ちだすもんだから、みんなで大笑いになったことがある。
「ものが増えたって、素直に言えばいいじゃんねぇ?」
「そうだよ、単にかたづけられなくて、足の踏み場もないだけじゃんねぇ?」
「何がカオスだよね?エントロピーってなんですか?」
「♪レーザーデイスクは何者だっ?!ってね」
吉幾三の『田舎のプレスリー』の突っ込みなんて、いまどき、説明しても通じないかしらん。

ちょうど2台あるカセットデッキも、1台壊れた。
久しぶりにかけてみたら、ピュルリュリュリュと数倍速になって。
“潮時”ってやつですかね。

断捨離のコツは見ないで捨てること―――だそう。
いちいち中身を見てると、時間がかかって、結局うまく捨てられない。
言えてる。
でも、私にはできなかった。
それにね、あきらかに自分の趣味じゃないバンドの名や曲名が目について、
手にとると、見慣れぬ手書き文字で曲順が書いてある。
ブルース・コックバーン レットアスゴーラッフィング
はぁ。誰だ、それ?この縦長の字は、だれの字?
トレーシ-・チャップマンにスパンダー・バレー
アイドル特集#3 ポキチペキチ・・・橋本一子、早見優・・・
あぁ、これはアイツがとってくれたやつだ。
仕事で出会ったちょっと年下の生意気なヤツ。
小さなラジカセでこの曲流しながら、ふざけあってた夏の海辺・・・。

そう、かつて、カセットは、人から人へ贈られるものだったことがあるのだぁ。
今みたいに、iポットでダウンロードなんて時代じゃなくて。
レコードも、出始めたばかりのCDも高くてとても手がでず、まだレンタルやもなかったころ。
唯一の味方はFMラジオだった。
DJが流す曲目を新聞であらかじめチェックして(お金のある子は専用雑誌を買った!)、
カセットのスイッチを押すのだった。
ときどき、DJがわざと曲の頭に声をかぶせてきたりすると、
がっくりきて、テープをまきもどしたりした。

めんどくさがりの私は、実際には録音よりもっぱらただ聴くだけだったけど。
男子とかはよく、録音したのを再編集して、自分好みのカセットテープを作っていた。
好きな男子から、「これ」ってぶっきらぼうに渡されて、
「なぁにぃ?」っって興味なさそうに受けとっておきながら、
女友達だけになると、「うそ、あいつどんな曲、きいてんの?」「ひゃあ、趣味悪っ」とか
さんざもりあがっった経験ある人も多いんじゃないのかしらん?

韓国ドラマの恋愛ものには、今も必ずといっていいほど
、恋する相手や片思いの相手にいきなり、自分が聴いてるイヤフォンの片耳はずしてつけて、
二人で同じ曲に耳をかたむける、ってシーンがでてきます。
すごいベタだけど、私、いつも少しキュンとするんだなぁ。

結局、山のように捨てたカセットのなかには、
英仏独伊西韓中7か国語が楽しく一度に学べるっていう、
当時ん10万円もした語学テープも30本ちかくあって、ちと泣けた・・・。
ドイツ語も中国語も封すら切ってないし、
20年前は韓国語に興味を持つ日がくるなんてこれっぽっちも思わず、
一回も聞いてなかった・・・。

要は、夢を買っていたんですね。
いつか7か国語が話せるようになる自分っていう、夢を。
あぁ、あんなお金かけるなら、それで海外旅行でもいった方が、よっぽど役にたったぞ・・・・。

後悔することは、いくらもある。

行けなかった圀。
あんなに仲良かったのに、今は遠くなって友達。別れた人たち。
失くした本。
こうありたかった私。
戻すことのできない時間。
とりもどすことのできない言葉。諍い。
♪アレクサンドラ~アレクサンドラ~

そうだ。
『モスクワは・・・』は、今ならアマゾンで中古が手にはいります。
(私は記憶のなかだけのコレクションにしときますが・・・)
主人公をだました男は、ちょっとうらぶれた中年になっても
、あいもかわらず女をくどいていて、
ベサメべムーチョをかけるのが、なんだか笑えて哀しい。
いい映画ですヨ。

8月も末。まだ夏休みは終わらないのに。
真夏日が途切れたと思ったら、東京はいきなり10月初旬の気候ですって。
このまま秋が来てしまうの?
あれほど、ブーブーいってたのに、いざ夏が終わりかけると思うと、
なんだかちょっとさみしい気がします。

さぁ、捨てそこなったカセットでも、かけながら、逝く夏を惜しむとしましょうか。
スクリーミィJホーキンス??
う~~ん?あ、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の人か。
いや、ちょっと今の気分じゃないなぁ。
CDは山とあるけど、やっぱり今夜は古ぼけたカセットからなにか選ぶといたしましょう。

あなたも、眠ってるカセットありますか?
まだ捨てるには、早いかな?

ではまた・・・・・♪アレクサンドラ~

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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