世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

サクラサク

桜が咲いた!

本物の桜もだけど、我が家の受験生に“サクラガサイタ”

 

その昔、合格発表を見に行けない遠方からの受験生には、業者やそこに住む親せきやらが電報で合否を知らせるのが常だった。

 

受かった人には“祝合格”でもなんでもいいけど、落ちた人には気をつかって、不合格というかわりに“サクラチル”という伝聞が届けられた。

桜散る・・・・ん~っ、なんか、そこはかとなく無念な感じが伝わってくるぞ。

 

というわけで、我が家というか、わが甥っ子たちも、桜は散りっぱなしだった。

 

お兄ちゃんは一浪後、国立大に入ったものの、医大へ進みたいという思いを捨てきれず、いわゆる“隠れ浪人”に。

弟も一浪。

模試じゃバッチリなのに、いざ本番となると、頭が真っ白になるんだとかで、楽勝のはずの私立まで、討ち死に。

 

あぁ!

 

深呼吸するといいよ。

あ、深呼吸するには、まず息を吐きださなきゃ。

そうよ、ため息だヨ!

答案用紙が配られたら、まずは大きくため息をついてみて?

それから、目をつぶって深呼吸ひとつ。

それから問題にとりかかろう。

 

心配するおばさん(私です(~_~;))は、メールなどしてみるのだけど、いきなりサーバーから“届きません”なんて知らせが来たりして。

なんじゃぁ~~~いっ!

知らないうちにアドレスが変わっていたという・・・。

 

おばさん、もう、がっくり。

1年にせいぜい1,2回しかメールしないのに、(もちろん、むこうからもくることはないわけで・・・!)

心をこめて送信したときにかぎって、受信不可ってさ。

なんの陰謀??と思うワ。

 

ともあれ、ほぼ50年、すなわち半世紀前ほども昔の受験おばの助言など、はなより届くはずもなく・・・・。

まぁね、わたくし、本番に強いタイプでしたし!

終了ベルがなって、後ろから答案回収にきた瞬間、ぴかっと答えがひらめいて、ちゃちゃっ◎つけたら大正解!とかさ。

 

こちらは勉強のことだけじゃなく、やれ風邪はひいてないか元気でいるだろうかと日々案じているのに、ちっとも連絡をくれず、むろんどこの大学をうけているのかなど蚊帳の外のおばさんは、すねるすねる・・・ってか、くじけるんですね、心が。

 

が、どうにか、サクラガサキ、昨日、甥っ子たちが、我が家へやってきた。

「うわぁ、大きいっ!」

二人そろって180センチ以上の長身。

 

最近、「こんな広い家たてるんじゃなかったねぇ」が口ぐせの母。

「当たり前でしょ?お母さん、この家、何年たってると思うの?(35年です・・)

昔、4人で住んでた時は、これでちょうどだったの」

「あぁ、そうか・・・・でも、マンションのほうが安全じゃない?ここ売って引っ越そうか?」

「だめだめ。年とって引っ越したら、ボケるってよ!(それでなくても、ぼけてるのに・・・・)」

「あ、そうか・・・・」

そんな話を毎日のようにくり返している家が、急に狭く見える。

「大きすぎて、なんか気味悪いね・・・」

自分の孫なのに、母は小声で私にささやく。

たしかに!!

せっかく背が高いのに、なんつうか、二人はアンガールズみたいで・・・ムダに長身なのだった。

昔は、こっそりジャニーズに応募しちゃおっか・・・と思うくらい可愛かったのに、どこでどう間違ったものか・・・・?

 

って、勝手な思いこみっていうか甥っ子たちにとっては迷惑な話よね。

わかってる。わかってはいるんだけど・・・。

 

世の親やまわりの大人は、かくのごとく、よってたかって勝手な期待を押しつけてるんだろうなぁ・・・・。

 

「おれ、能力たりないから・・・っていうと、良一さんは“お前は能力がたりないんじゃなくて、ないんだよ!”って言うし」

と、下の甥がいう。

父親をさんづけの名前で言うあたりに、彼なりの苦悩というか腐心が見える・・ような気がする。

「干渉されまくりだから、うち」

とも言う。

本当はどこだかの比較文化なんたらに行きたかったが、良一さん=父親が就職のことを考えたら、文学部なんて絶対だめ!理科系じゃないなら法科にしろ!とか、指図したんだそう。

「まぁ、呆れた!自分の好きなとこに進むのが一番じゃない!!」

と、母。

「自分は自由にやってたくせに、何いってんだろ!!??」

怒っても、あとのまつり。

2年目も親の要求通りの受験をした甥っ子は、意にそまないながらもどうにか合格した2校から、進む大学を選びましたとさ。

“とっぴんぱらりのぷういぷい。”

(すべてのお話をこの言葉で〆る地域があるそうな。

なんか、アナーキーな感じがして、よくなくない?(笑)

イヤな話もそれなりに、いい話もそれなりに、なんか緩和される気がするワ)

 

さて、ともあれ一浪でサクラガサイタ弟に対し、医学部をめざしたお兄ちゃんの方は・・・。

「よくあきらめなかったね。えらいね」と

おばあちゃんにほめられると、う~~ん、としみじみうなずいた。

 

「まぁねぇ。大変なんだよ。落ちるとさぁ、信用なくすからさぁ。家族にもまわりにも」

信用?

 

「うん。二浪めとかなると、学校の先生も、もうそろそろ違う道考えてもいいんじゃないかぁ?とか、遠まわりにもうあきらめたらどうだ?みたいなニュアンスだし。

家族もどうせだめなんじゃないの?みたいなさ。

そうすっと、自分でも、あぁ、俺はだめなのかなぁとか、自信なくすんだよね」

 

でも、あきらめなかったんだよね?

「あぁ。自分でもだいたいわかるからさ。おととしはもう一歩だったし。去年はもうほんとうにここまで手がかかってたんだよね」

お兄ちゃんは首のあたりで両手を懸垂みたいにまげる。

なるほどあと一歩だったわけだ?

「うん・・」

あと1年だけがんばろう。これでだめだったら、ほんとに最後にしようと、彼は自分の今の力ならここと、志望校を見定め、そして、ついにサクラがサイタ!!!!

 

「受験生って疲れるんだよ」

弟が寝てばかりいると、母親にぶつくさ言われてた時も、お兄ちゃんはかばっていたっけ。“一日の長”ってやつですかね?

 

「わがやからお医者さんが出るなんて!」

母は喜ぶというより感慨しきり。

「いいお医者さんになってね。人の役にたつ人になってね」

「あぁ、まぁ」

あいまいにしかうなずかなかった甥っ子の心中やいかに?

 

母からのお祝いを懐に、うなぎとケーキを食べて、満足げに帰っていった甥っ子たち。

 

彼らのなかに、わたしたちの喜びはどれほど届いているだろう?

 

親に言われ、しぶしぶ書いたらしいメールの合格報告に、弟のほうはこう書いていた。

「件名:受験結果報告

今年度の受験も惨敗し、***大学社会科に通うことになりそうです。

予備校代の一部を負担してもらったにもかかわらず、このような下位学部になってしまい申し訳ないです。

これが自分の能力だとしっかり受け止めて高望みをせずに生きていこうと思います。

援助、どうもありがとうございました。

おばあさまにもお伝えください」

 

「お母さんのこと、おばあさまだってよ!!」

「あらま。そんな呼び方されただけで、おばあちゃん的にはもう満点合格だわ」

だが。

それにしても情けない!

高望みくらいして生きろよっ!!

わたしたちの思いは、とどくことがあるかしら?

本当に、高望みはしないで生きていくのかしら?

 

ひょろひょろ、ふたつ並んで帰っていく背中に、わたしの胸に去来した一抹のさみしさのようなものの正体はったいなんなのだろう?

 

ぶつくさいながらも、今、彼らの前には確実に新しい日々が新しい世界がひろがろうとしている。

 

孫たちがたった今来ていたことも忘れ、

「あらま、ちゃんとお祝い渡した?

それで、どこ受かったの?」

と、くりかえす母に、

「ちょっと早いけど。お風呂入ろうか?」

と、促しながら、私は肩をすくめる。

桜が咲いたっていうのに、今日は寒いよねぇ。

「寒のもどりじゃない?」

母は、そく、続ける。

「あの子たち、風邪ひかないで、ちゃんと家に帰るといいけど」

 

いきつもどりつ。

春はくるネ。

 

作家
: 正本ノン
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