世良心療内科クリニック

小樽市の心療内科、精神科 世良心療内科クリニック

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コラム

baby step

longtime no see

恐竜の骨がきれいに並んでる。

全長8メートル。日本ではこんなにそろった全身骨格の恐竜は例がないそうだ。

発見から約15年の歳月を経てクリーニング(!!)が終わり、レントゲン写真みたいに骨が並んだ下で、大人がばんざいしたり(すると、その巨大さがわかるのだった!)子供たちがずらり並んで歓声をあげるニュースに、なんだか笑ってしまった。

恐竜の骨って、なんでユーモラスなんだろう??

他のいきものの骨じゃ、こうはいかない気がするなぁ。

のんきなニュースは、青く澄んだ空によく似あった。

気持のいい秋の始まりだった。

 

翌日、

朝5時、メールの着信音で目が覚めた。

だれだ?こんな時間に?

“大変、北海道で夜中の3時に地震だって。

ネットで騒いでるよ。みんな大丈夫かな?“

メールをくれた友人も私も、北海道育ち。

もっとも親しい友人たちはともに今も北の大地にいる。

 

あわててテレビをつける。

各地の震度がバナー広告のようにテレビ画面の上を次々と流れていく。

震度4 むかわ町、安平、厚真町、札幌東区 震度3、千歳市、札幌…

アナウンサーが緊張した声で、各地の模様を読みあげてゆく。

速報で震度4とされたのは、危機が壊れ正確な情報が入らなっかたためで、実際は震度7だったと発表されたのは、2日後だったか。

 

ともあれ、友人にメールする。

札幌の友人からはすぐに電話があった。

「もう、たいへんだよ。棚の上のもんも何もかも落ちて、ワヤクチャ。怖くて眠れないし、停電で真っ暗で片づけもできないしさ」

それでも、声を聴くと、少しほっとした。

小樽からは“

停電で大変だよ~、でもみんな無事だから安心してね~~“とすぐに返信があり、けががないことだけは確かめられたのであとは電源保持のため、メールも控えた

 

刻々と更新されるニュースを見ながら、あれ?と首をひねった。

むかわ町?・・・どっかで聞いた名前だぞ・・・。

あぁ、恐竜だ!

昨日、ユーモラスなニュースで初めて知った町の名が、今日は一転こんな被災の地としてつげられるとは?!

せっかく並べられた標本も崩れてしまったんだろうか?

満面の笑みを浮かべていた小学生たちはどうしたろう?

まだ、厚真町の被害者の訃報は届いておらず、私はまだ少しのんきに案じていた・・・・。

 

札幌の友人から再びメールが届いたのは、2日後だった。

“パンと牛乳を買いに行ったけど、どこにもありませんでした”

“こっちから送ろうか?”と書きかけて、指を止める。

流通もストップしてるのに、アホか?

便利になれた身には、そんな簡単なことすらとっさには思いが至らないのだった。

 

札幌の友人は、以前大阪に住んでいた。

その関西はつい先日スーパー台風に直撃されたばかり。

安否を気遣って久しぶりに電話で話し、互いに反省したとこだったそうだ。

“いやぁ、もう、なにがあるかわからない世の中だもんね。もっとちゃんと連絡とりあおうね”

 

その余波(?)で、私にも“元気?メール”が届いた直後の、この地震だった。

 

食器やら本やら何もかもが崩れた部屋の写真は、なかなかにすごかったけれど、私のふだんの汚部屋とどっこいどっこいでもあった気が・・・・。

けど、割れた食器がおおきな紙袋2袋分と聞くと、冗談ではなかった。

 

同じ札幌でも真駒内近くの高台に住むお姉さんのところはもっとすさまじく、食器棚から何から扉という扉は全部開いて中身が飛び出し、ワインやウイスキーの瓶は割れ、重い冷蔵庫やドラム式洗濯機まで動いていたそう。

幸い不在だったので、下敷きになることは免れたそうだけど・・・・。

 

そういえば小学校の時に、釧路で十勝沖地震に遭遇したことがある。

4愛建てのマンションの3階に住んでいたのだが、窓からの景色が斜めにガガガガガガっと揺れたのを、今でも覚えている。

 

明日は我が身、どころか、今そこにある危機。

どこにでも、いつでも、おこるもんなんですね、災害は。

この夏、WHO世界保健機構は、今や世界はますます激甚災害ともいうべき自然の驚異にさらされやすくなっていると、わざわざ発表したんですよね。

犠牲となった方々の冥福を祈るとともに、何か自分にできることはないか、今まで長いこと生きてきて、ほとんど初めてといっていいくらい真剣に考えはじめています・・・。

 

ところで。

長いこと、勝手にこのコラムをお休みしていた私ですが。

♪longtime no see!

メジャー契約をしてから久方ぶりに札幌ドームでファンの前に姿を現わした大谷翔平選手にならって、明るく笑顔で“おひさしぶりです♪”と言えば、罪悪感も少しは薄れるでしょうか。

 

ご無沙汰していた間に私の身に起きたことはといえば、nothing!!!

とりたてて特別なことはなんもありませんでした。

いや、あったな。

大切な友人が闘病の末に亡くなり、私は誰よりもよく小説や映画の話を楽しんだ友を失った。

海外ミステリーが大好きだったけれど、入院中は明るい気分になりたいのと、軽いエッセイやユーモア小説を片っ端から読破していた。

差し入れはいつもたくさんの文庫本。

でも、半年もすると飽きてしまい、やっぱりヘビーなものが読みたいわと言った。

ちょうど鳴り物入りでヒット間違いなしというミステリーが売り出され、「でも、相当残酷らしいよ。いいの?」と念を押した末、差し入れた。

 

結局、その本が彼女が人生で最後に読んだ本となった。

亡くなったあと、その本が私の手元にもどされ、読んで愕然!!

え~~、なに、これぇ??!!

こんな後味の悪い本、読んだのぉ???

人生の最後に???いやだああぁ・・・・。

 

後悔することは他にもあるはずなのに、彼女に対して申しわけないと思うことの第一は、あの小説を選んだことだったりする。

人って、変な生き物ですね。

でも、たぶん、そこに、彼女への私の思いがあるんだな・・・なんて自分で自分を擁護したりして。

 

記憶力に問題を抱える母のようすは、ますます深刻になり、毎日際限なく繰りかえす。

「ねえ、あんた、うちのお父さんは?どうした?まだ帰ってこないの?」

「お父さんは死んだよ。天国にいきました」

「え~~っ、いつ??いやねぇ。変なこと言わないでよ」

「いや、いや、ほんとですって」

調子のいいときは、同じ質問を無限に繰りかえす程度だけど。

調子が悪いと、怒り出す。

「無責任だ。なんで勝手にいなくなる??だいいち、あんたはなんでお父さんが死んで悲しまないんだ!平気な顔で“死んだ”なんてよくも言えたもんだ」

・・・・もうこうなると、私は三十六計逃げるにしかず。

「♪ごめ~~ん、お風呂はいりまぁす」

 

折り合いが悪かったはずの自分の母親のことも、同じくらい頻繁に聞く。

「あんた、おかあさんの親はアサノっていうんですけどね、どこにいるの?」

もうなくなったよと言っても信じないのは同じ。

最近、私にはテッパンともいえる回答ができた。

「あのね、お母さん。おかあさんが今年88歳で、日本人の女性の平均寿命をもう越してるの。

お母さん自身が“死亡適齢”なんですよ。そんな人の親が生きてるわけないでしょ??」

 

「わかりませんよ」

母はまだ言い張るけれど、死亡適齢期っとこで、いつも少し笑う。

むろん、私も笑いながら言う。

 

死亡適齢期とは言いえて妙、じゃありません?

これ、椎名誠が言い出した言葉です。

“少年の魂をもった男”の代表選手みたいなシーナが、もう70代半ばだなんて!!!!

でもって、そろそろ死を意識する年代に差しかかって、生み出したのがこの言葉。

結婚適齢期よりだんぜん、今の時代にふさわしい単語じゃありません??

 

おりしも、今日のニュースが、女優の樹木希林の訃報を伝えてる・・・。

常に覚悟をもって生きていた人に、涙の別れはふさわしくない気がする。

そういえば外国では、人が死んだからといって、必ずしも悲嘆にくれた報道はしないのだと、塩野七生が書いていたっけ。

 

そういえば今日は安室ちゃんが引退した日でもある。

平成の歌姫は涙涙のフィナーレじゃなく、明るい笑顔で別れをつげたんだよね?

 

親や夫が亡くなったと告げられるたびに、母は憤る。

「我が家は不幸なの?!不運で嫌になる」

「あのね、おかあさん。そんなこと言ったら、人類はすべて不幸で不運ですよ。死なない人はいないんだから!」

私が言い返すと、

「それは理屈です!」

と、むきになる母は。

「あのね。そもそもおかあさんがもう死んでもおかしくない年齢なの。そういうの、死亡適齢期っていうんだってさ」

揶揄すると、

「ご冗談でしょ。まだまだ生きてやる!」

と鼻で笑い返す母でもある。

「そうやって親ないがしろにすると、しまいにはバチがあたるから!」

言い返すときだけは、鋭いんだよなぁ・・・(笑)

 

さて。ところで。

このコラムがはじまったころ、私はすでに半世紀を生きていたにも関わらず、なんだかのんきで空中にむかって糸をたぐっていくアオムシに感激したり、宇宙のどこかで宝石の降る惑星があるのだと知ってきゃぁきゃぁいったり。まぁ、そりゃぁ、お気楽っていうか、苦労知らずでありました。

いまは、お釈迦様が説いた“この世は四苦八苦にみちている”といった言葉が、なかなかに身に染みるようになってたりします。

 

でも、秋の風のさわやかさに、目を閉じ、深呼吸すれば、少し、心はかるくなって、チャリンコで走り出したくなるんだなぁ。

時折、耳もとで風切り音が鳴ることがあって、おいおい、私は鳥か??とうれしくなったりする。

つい先日までは暑さに(;^_^Aだらだらで、おいおい、私はいつから両生類になっただぁ??と嘆いていたのにネ。

日々流転。

 

行く川の流れはたえずして、しかももとの水にはあらず。・・・方丈記ですワ。

福岡博士いうところの動的平衡ってやつでもある。

 

明日、地球におわりがきても、私はリンゴの種をまくだろう。

っていったのは、マルチン・ルターでしたっけ?

 

ん、私はリンゴをほおばりながら、明日でも夢見るとしようか。

明日は明日の風がふく。

その風が、願わくばここちよく、われらの身体のすみずみまでいきわたることを祈って。

 

じゃ、またね!!!

 

作家
: 正本ノン
プロフィール
   
星座
: 水瓶座
血液型
: A 型

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第2・第4・第5土曜日、日曜日、祝日

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